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皆さんは犬はお好きですか?ペットとして飼われていらっしゃる方も多くなってきましたよね。実は、犬は最も古くから人間と暮らしはじめた動物だと言われており、もともとは住居の見張りそして狩猟の補佐のために家畜化されたと考えられていますが、現在ではほとんどが愛玩用、つまりペットとして飼われています。日本では平成27年10月時点で、約14.4%の世帯が犬を飼っています(ペットフード協会「平成27年度全国犬・猫飼育実態調査」より)。
人間の最良の友」とも言われる犬ですが、大切な家族の一員として素晴らしい関係を続けていくためにも犬がどういう生き物であるかを理解し、幸せに暮らせる住まいづくりについて考えてみましょう。
犬はオオカミのように群れをつくりリーダーに従う動物です。人と暮らす場合には、人が群れの仲間でありリーダーです。一緒に居れば犬は安心できるのですが、親は仕事に、子供たちは学校に、犬が一匹でお留守番という状況になる家庭も多いですね。リーダーが外出してしまう不安、大好きな人が長時間そばにいないというさびしさは犬にとってかなりのストレスになりますので、このストレスを解消するには、何かで犬を安心させてあげることが必要です。家の中で犬がいつもここに居るという場所があるでしょうか。決まった場所はないというお家も多いようですが、これは犬にとってのマイスペースがないということなのです。
生きものにとって、安心して身体を休められる自分だけの居どころを持っていないことは、大きなストレスにつながります。「うちの犬はいつも自分についてきて困る」という飼い主さんがいらっしゃいますが、決まった居どころがないため、リーダーである飼い主さんと一緒に行動しないと不安でたまらないのかもしれません。
決まったマイスペースがあれば、お留守番の時間も安心して待っていられます。居どころに適しているのは、いつも家族の姿が見える空間。たとえばリビングの隅です。そこにケージを置いてあげましょう。
ケージをリビングに置きたくないという場合には、リビングの壁にペットハウス収納を設けるのはどうでしょうか。ペットハウス収納は、犬の食事やトイレの専用場所と壁面収納をひとつにまとめたもの。壁面収納にはフードや犬用グッズまとめて置いておくことができ、犬にとっても人にとっても便利な設備ですね。
現在の日本では、多くの犬が室内で飼われています。そして、その住んでいる部屋の床はフローリング材が主流ですが、このフローリング床が犬の足腰に大きな負担となっていることは、意外と知られていません。硬くて滑りやすい合板フローリングの上を歩いたり走ったりすると、犬は足を滑らせて、腰に負荷がかかってしまいます。また、床が硬いとリビングのソファーから飛び降りたときの衝撃で膝や腰を痛めることもあります。
とくに日本で繁殖された大型犬種は遺伝的に股関節形成不全になる確率が高いこともあり、滑りやすい床の上で育てるのは非常に危険です。遺伝性疾患の因子を持っていない犬でも、滑ったときに膝の骨を脱臼したり、膝関節のじん帯を切ってしまうこともあります。
故障を抱えたまま、滑りやすい床で足腰に負担をかける生活を続けると、ついには立ったり歩いたりもできなくなることもあるのです。
では、どんな床材を選べば、犬が健康的に暮らせるのでしょうか。無垢材やタイルなども犬の足腰にはいいようですが、犬が一番歩きやすいのはカーペットのようです。しかし、しつけをする前の子犬やボケがはじまった老犬だと、そそうをして汚してしまうこともありますね。カーペットの上にそそうされてしまうことを考えると、お掃除も大変になってしまいます。お手入れしやすく、犬の足腰に負担のない床材はないものでしょうか。
そんな悩みを解決してくれるのがファブリックフロアです。表面に凹凸があり、適度なクッション性を備えて滑りにくい、歩き心地のいい床材です。階下にひびく生活音もやわらげてくれますし、抜け毛が絡み付くことなく掃除機で簡単に吸い取れます。そしてタイル状なので、汚れた部分だけ取り外して水洗いもできます。あまりにも傷んだ場所ができても、その部分だけ取り替えることが可能ですから経済的ですね。
しつけの面から考えても、安全の面から考えても、人と犬とが常に一緒というのは、じつはあまり望ましい暮らし方とは言えません。家の中で、犬は立ち入り禁止という部屋も必要になります。
たとえば、よく火を使うキッチンは犬にとって危険な場所。おいしそうな匂いにつられてすぐに入れるようでは問題です。包丁やコンロで怪我や火傷をしないために、また、犬にとって毒になるものをうっかり口にさせないために、キッチンの入口には仕切りがあった方がいいでしょう。
でも、しっかりと扉を閉めてしまっては、犬が不安になってしまうこともあります。そんな場所にはスライド格子を設置してはいかがでしょうか。入ることはできませんが、姿が見えるので犬も安心して待っていてくれます。
住まいの環境は人だけではなく一緒に暮らす犬の心身にもさまざまな影響を及ぼします。犬が本来持っている特性を理解し、快適に暮らせるように配慮することは飼い主の責任です。犬と人がともに幸せに暮らせる住まいづくりのために、できることはしっかり考えていきましょう。