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現代の住まいは、1年中快適に過ごせるよう断熱化が進んでいます。しかし、その分だけ結露が起こりやすくなり、材料の傷み、シロアリ、ダニ、カビの発生につながってしまうのです。それらを防ぐために使われているのが化学物質です。
そして、化学物質は空気中に浮遊し、体内に取り込まれます。有害な化学物質に汚染された住まいがシックハウス症候群を引き起こすとして、2003年7月にシックハウス法が施行され、対象物質の使用量は規制されるようになりました。
しかし、健康被害にも個人差の問題があり、基準をクリアしていても絶対に安全とは言えません。次の項目から、家を建てるときに注意すべき点を考えていきましょう。
そこで、今回注目したいのが塗料です。住まいには様々な塗料が使われています。そして、塗装は住まいの外見を美しくし、また耐久性を向上させる効果もありますが、使用する塗料によってはシックハウス症候群の危険性も高めてしまうのです。
主に問題視されているのは油性塗料です。顔料や色素を溶かすため、油性塗料には有機溶剤が含まれています。これに含まれる高濃度のトルエン、アセトンなどが揮発し、健康被害や環境汚染につながるのです。
そのため、最近では油性塗料の溶剤が安全なものへと切り替えられていますが、室内に使う塗料は水性塗料や「エコ塗料」がおすすめです。それでは、エコ塗料について詳しく解説していきたいと思います。
さて、実のところ「エコ塗料」の定義は曖昧です。また、大きく分けて2種類の使われ方をされています。以下がエコ塗料の概要です。
今回は、1の「自然塗料、健康塗料」に焦点を当てたいと思います。シックハウス症候群やアレルギーの原因物質を含んでいない塗料について考えてみましょう。
一口に「自然塗料」と言っても、メーカーによって様々な種類のものが生産されています。きちんと健康を考えて作られているものを選びたいところです。主要な製品を以下にまとめてみました。
・柿渋(メーカー名:トミヤマ)…古来の塗料といえば柿渋です。成分は柿タンニンと水分。
・柿渋ペイント(メーカー名:トミヤマ)…柿渋をベースにした水性塗料。含まれる顔料は全て天然のものです。
・ビオファペイント(メーカー名:シグマ技研)…アレルギー対策に力を入れており、原材料が全て表示されています。
・アウロ(メーカー名:玄々科学工業)…100%天然原料を使い、原料名は全て表示しています。
・未晒し蜜ロウワックス(メーカー名:小川耕太郎∞百合子)…原材料は無漂白蜜ロウと荏ゴマ油のみです。
・キヌカ(メーカー名:日本キヌカ)…米糠から生まれた塗料。
・オスモカラー(メーカー名:日本オスモ)…無害とされる化学物質イソパラフィンを含んでいます。
・アグライア(メーカー名:吉田製作所)…石油化学製品の一切を不使用。
・リボス(メーカー名:イケダコーポレーション)…イソパラフィンを含んでいます。「自然塗料」をさらに「自然健康塗料」へと向上させることに取り組んでいるメーカーです。
・エシャ(メーカー名:ターナー色彩)…植物を中心とした自然成分を主体に、オイルフィニッシュ、オイルステインを中心に生産。溶剤としてイソパラフィンを含みます。
・ブレーマー自然塗料(メーカー名:エコ・オーガニックハウス)…100%自然素材を使用しています。
・ミルクペイント(メーカー名:コーティング・メディアサービス)…水性塗料で、ミルクカゼインというタンパク質が主成分です。
・ナチュレオイル(メーカー名:アトリエ・ベル)…塗装屋なのに「木は塗装しないのが一番」という主義の寿々木塗装店が作った塗料。
・トライド・アンド・トゥルー(メーカー名:マルホン)…100%天然素材の亜麻仁油塗料です。
・匠の塗油(メーカー名:太田油脂)…純正えごま油をベースにした100%植物油です。
・セラリカコーティング・ピュア(メーカー名:セラリカNODA)…木ロウ、精製亜麻仁油など、100%植物原料です。
いかがでしょうか。柿渋などは、古来、家づくりに使用されてきた塗料です。
健康被害や環境汚染を考えると、素朴な製品に回帰するのも一つの正解と言えそうです。
また、天然原料だからといって完璧に安全だとは言い切れません。成分を慎重に調べ、自分の体質や家に合った塗料を選びましょう。
見落としがちですが、室内に使用される塗料は、健康を考える上で非常に重要です。毎日元気に過ごせるよう、大切なマイホームには安全な塗料を選びましょう。